2012年04月27日
先日、わが家に外壁の塗り替えをすすめに、塗装屋さんが、やってきました。わが家は木造在来工法の築17年ですが、まだまだ大丈夫だろうと、思っていたので、話だけでも、という軽い気持ちで、お会いすることにしました。
(以降「 」内は塗装屋さんの科白、( )内は筆者の心理です。)
「お義姉さんのところから、紹介されました。池田の○○では、おかげさまで、数多く手がけさせていただきました。」
(ふむふむ、義姉も家の塗り替えもこの業者さんなんだな。だったら、安心できる…。ちょっと話を聞いてみよう)
「築17年なのですが、まだまだ持つと思うんですが…」(と、余裕の筆者)
「一般にはそうなんですけど、一軒一軒環境や事情が違いますので、十年ももたないところもあるんですよ。」
(ちょっと危惧。でも、外見はまだキレイだし、まだ大丈夫だろう。)
「義姉も築後ずいぶん経ってから塗り替えたし、まだ考える時期ではないでしょう」(防戦を張る筆者)
「お義姉さんのところは、下地を塗って、下塗り・中塗り・上塗りと都合四回塗り重ねていたのです。だから十五年を越えても、持ったのです。率直に申し上げますが、ご主人のお家の壁は、リジンと言って一番安物です。普通はこの上から塗り重ねるべきなのです。だから、お義姉さんの家は事情が全然違うのです。」
(失敬なヤツ! でも少し不安になってきたゾ)
「とはいっても、今すぐに塗る必要はないでしょう?」
「そのとおりです。でも、3~4年後に塗り替えるとして、その時、今のお値段でできるとは限らないのです。塗り替えを遅らせる間にも、塗装の割れ目や剥落から、水が染み込んで、構造に影響を与えます。極端なケースでは、壁ごとハツリ直さなければならなくなる。そうなれば、数百万円の仕事になります。」
(それは大変だ! でも傷んでいるという証拠はないし…)
「ここを見てください。水回りのところに細かなヒビがたくさん入っているでしょう。コイツが曲者なんです。」
(と、今度は壁をこぶしでコツコツと叩きながら…)
「コーンと乾いた音がするところは、塗装の割れ目から傷みが始まって、中が剥落しているところです。因みに…」
(と、何箇所か叩いてみる塗装屋さん。)
(スイカじゃあるまいし…。でも相当傷んでいるのかも…。コイツは不安だ。建売は失敗だったか。)
「それなら一度、お見積をいただけませんか?」
「ハイ、今手元にございます。工事は四度塗りの最高級の仕上げです。足場・養生すべて込みの値段です。」
(へえーっ。もっとかかると思っていたのに、意外と安いもんだ)
「当社は、大手の○○ペイントと直取引の認定店です。中間業者が入らないので、お安くできます。それと、申し訳ないのですが、ご主人の家を広告塔として使わせてほしいのです。この地域のみなさんにも当社の仕事振りをみていただきたくて…。だから、今でしたらこれより十万お値引きして…」
「もちろん、2年後、3年後でも結構です。そのときでもお安くさせていただきますが、傷みの進行によっては、同じお値段は保証しかね
ます。」
「お節介ですが、お子様が下宿される前の方が費用のやりくりも… もちろんローンも組めますし…」
「キッチンやお風呂を入れ替えるお客様も多いですが、肝心の家そのものを守るほうがより大切かと、私は思うのですが…」
(この時点で筆者は真剣に検討を始めた。)
業者としての信頼性。しっかりした商品知識。実邸による個別診断による処方箋、顧客のライフステージを見据えたアドバイス、そして自社の建物に関する考え方、そしてとどめはモニター見合いのお値打ち価格。見事に組み立てられたセールストークに、筆者はいまだに迷っています。