遊民悠民(ゆうみんゆうみん)

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ありとあらゆる情報が溢れるいま、役に立つ情報が見つけにくい。
20代から60代までの「遊民悠民」メンバーが、「遊ぶ」「暮らす」「食べる」をテーマに
さまざまなモノを比較し、レポートしていきます。

くらす

美文字(?)のあなたにふさわしい「年賀状用の筆ペン」を探そう!

P1000004世間はすっかり「美文字」ブーム。書店では「ペン字練習帳」などの美文字本が溢れかえり、2013年の新語・流行語大賞にもノミネートされましたね。デジタル化で手書きの機会が減っている今、美しい書き文字は好感度アップにつながりそう。「今年の年賀状は手書きで!」と思っている方も少なくないのでは?

そこで今回は、売れ筋を中心に「中字」の筆ペン5種類を比較してみました。メンバーは、書道歴ウン十年の美文字おやじの「ハクシキ」、お習字大好き♪文字通り美文字女子の「ジョシ」、味わい深い文字を綴る20代男子の「ハカセ」、美文字よりも美魔女を目指したい(ウソ)40代の私、「ビッグママ」の4名。さあて、みんなが納得する「美文字」のための1本は見つかるのでしょうか。

 

試した筆ペンはこちら。「毛筆」「中字」で選びました。
※価格はすべて税込希望小売価格(2013年11月時点)。

① 「筆ペン」といえばコレ!アマゾンでの売れ筋1位 ぺんてる
ぺんてる筆〈中字〉 XFL2L (染料インキ)525 P1000010_R

②   同じぺんてるで、インクの違いで書き味がどれくらい変わるか
ぺんてる 墨液ぺんてる筆 中字 XFP6L (顔料インキ) 630P1000006_R

 

③    墨、書道用具メーカー 呉竹の実力はいかに?
呉竹 墨液くれ竹筆 中字 DM150-22B (顔料インキ)525P1000009_R

 

④   筆記具メーカーならではの書き味は
パイロット 新毛筆 中字 S-50FDM-B (水性染料) 525P1000011_R

 

⑤   筆で有名な奈良が本社の書道用筆の老舗の筆ペン
あかしや 新毛筆 SA-300 315P1000008_R

 

比較 其の一 パッケージ

書き比べの前にパッケージを見比べながら、「店頭で自分で選んで買うとしたらどれ?」と吟味。20代2名と人生折り返し組2名で意見が分かれました。

パイロット派(ジョシ、ハカセ)
「筆の筆記体デザインが、筆っぽい」
「朱と黒の色使いが派手で良い」

P1000011_ZU

新春らしい華やかな色づかいは、売り場でも目立ちそう。

くれ竹派(ハクシキ、ビッグママ)
「呉竹、というメーカーで選ぶ(ハクシキ)」
「用途がしっかり書いてあるので、選ぶとき安心できる(ビッグママ)」

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数百円のものでも、しっかりチェックして購入するあたり、主婦の鑑(自画自賛)

「見た目重視」の若者と、「実利重視」の中年の違いが表れたようです。

P1000013

「ぺんてる(顔料P6L)」の裏面。文字が小さめ

ぺんてるについては「コピーがわかりやすい」「裏面の文字は読みづらいかも」、あかしやについては「筆自身はいちばん毛筆っぽいが、パッケージがチープ(実際、5本のなかでいちばん低価格ですが)なので、ちょっと不安になる」という声が上がりました。

 

 

 

比較 其の二 はがきに書く

P1000012

実際の官製はがきに「謹賀新年」とつづり、墨の色、筆先、書きやすさ、はがきとの相性を比較。年賀状に適した一本を探してみます。

■墨の色~モダンな「パイロット」か、墨らしい「くれ竹」か

P1000021_B

くれ竹で書いた「謹賀新年」。右より、ハクシキ・ビッグママ・ジョシ・ハカセの作品

P1000018

こちらはパイロット版。
写真では、墨の色の違いはわかりにくいでしょうが、実際は明確な差が見られました

パッケージに引き続き、④パイロット③くれ竹が高評価。ただ評価ポイントはそれぞれ異なり、パイロットは「パキッとまぶしい黒。モダンな感じ。白い紙に映えそう」「ピアノブラック、って感じですね。モダンインテリアでこういう色を使います」と墨らしくない鮮やかさを評価。一方「色の濃淡の変化がなさすぎて、墨っぽくない」という声も。

くれ竹には、書道好きのハクシキ・レキジョが「いちばん墨の色に近い」と票を入れました。さすが商品名に「墨液」と掲げるだけのことはあります。

同じく「墨液」をうたう②ぺんてる(顔料インキ)は「ほどよい感じ」、染料インキの①ぺんてるは「薄くて墨らしくない。サインペンみたいで濃淡が出ない」、⑤あかしやも「薄い」という声が上がりました。

■筆先~かたすぎず、やわらかすぎない くれ竹

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ハカセ作品集。「まともに扱えたのはパイロットとくれ竹ですかね」とは本人談。
確かに、パイロットはイラストを入れる余裕もあった模様
(書き損じを誤魔化している、という疑惑もありますが)。

「細めだけど、ちょうどいい」と、③くれ竹が高評価。④パイロットは「太くて少し書きづらい」「少し割れる」、②ぺんてる(顔料インキ)は、「少し割れる」「筆がおり過ぎる感じ」、アマゾン売れ筋1位の①ぺんてる(染料インキ)にいたっては「手に余る」「扱いづらい」と、自分の腕を棚に上げた辛口コメントも。 ⑤あかしやは、「やわらかすぎて、書きづらい」という声が目立ちました。

■書きやすさ~ハライやトメがしやすいのは

「硬くて書きやすい」「サラサラ書ける」「反発してくるから、逆に書きやすい」と、この項目で再び④パイロットが高評価。パッケージ裏面の説明を写し書きしますと

「特殊毛材(新製法)です。獣毛(イタチ毛、馬毛等)の3倍の耐久性があり、復元性にすぐれていますので、トメ、ハネ、ハライなどの筆法が自由にできます」とのこと。

「3倍」と具体的な数字まで出しているのは、今回比較した中ではパイロットだけ。看板に偽りなし、といったところでしょうか。

ここまで高評価が続く③くれ竹も「ハライやトメがしっかり出る」と好評。ただ「パイロットのほうが書きやすいかも」というジョシの一言にハクシキも同調、次点という評価になりました。

②顔料インキのぺんてるも、「スラスラ書けて、ハネが強く出ます。力の加減もできる」「にじまずに、スーッと書けます。細い字も書きやすい」と人気。①染料インキのぺんてるは、書道歴が長いハクシキは「コシがあって使いやすい」と評価するものの、他の3名は「力加減が難しい」とコシがひけた感想を述べております。

⑤   あかしやについては、全員一致で「サインペンのような細い見た目に騙されますね(笑)。意外と太く出る」。「やわらかすぎて、角が取りにくい」という声もありました。

P1000021_B2

「②ぺんてる顔料(左)」と「⑤あかしや(右)」とで書いたものを比べると
確かに「あかしや」の方がぽってりしたフォルム。そこはかとなく親近感…

はがきとの相性~にじみにくいのは、パイロットと

 顔料インキのぺんてる

「違和感なくスラスラと筆が運べて、インクがにじみにくい」と、と②ぺんてる(顔料インキ)④パイロットが「書きやすさ」に続いてこの項目でもトップ評価。「大量に年賀状を書いても疲れにくそう」というコメントがありました。③くれ竹も「なんとなく、はがきへのなじみが良い気がします」と次点に。

以上をまとめてみると、③くれ竹④パイロットが同点で1位という結果になりました。

BrushPen_Chart

奇しくも、パッケージの評価と同じ結果です。書き比べを終えた時点で改めて「自分で買うならどれ?」と尋ねたところ、3名(ジョシ、ハカセ、ビッグママ)は「書きやすいパイロット」、書道歴の長いハクシキは「墨の色が本物に近いくれ竹」を押しました。

筆ペンを「筆記具の一種」と捉えるか、「筆の代用品」と捉えるかで、感じ方は異なったようです。

 

比較 其の三 祝儀袋に書く

誰もが筆ペンを使わざるを得ないシチュエーションといえば、「のし袋」「記帳」。はたして年賀状用おすすめ筆ペンは、他の用途にも使いやすいのかどうなのか。

念のため、「祝儀袋」で書き比べもしてみました。

P1000024

まるで、筆ペン自身からご祝儀を頂いたよう…

はがきも祝儀袋も、それほど変わりはないかと思いきや「パイロットも顔料のぺんてるも、かすれてしまう」「マジックみたい。筆ペンぽくない」「くれ竹は、この紙が相手だと扱いにくい…」と、先ほどの比較では出てこなかった声が続出。そして異口同音に「意外ですけど…⑤あかしやが、いちばん自然で書きやすい!

つい先ほどまで「細い見た目に騙される」と言われたい放題だった⑤あかしやが一躍トップ評価となったところで、書き比べ会はお開きとなりました。

「モノには適材適所がある」と、改めて感じた今回の調査。店頭で試し書きをする際は、備え付けの紙ではなく、書きたい紙のサンプルを持っていくと良いかもしれませんね。

あなたにぴったりの1本が見つかることを祈りつつ、このあたりで筆をおくことにいたしましょう。

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