2012年02月10日
還暦前の体力で深夜の長距離バスは使えるか?験してみました。
区間は東京駅から京都の祇園まで。いつもなら新幹線で帰るところですが、その日は大学時代の仲間たちと銀座で飲むことになり、新幹線の最終ではちょっと楽しい時間が短くなってしまうので深夜バスを験して見ることに。
ネットで調べると最大手の「WILLER TRAVEL株式会社」の最上級クラスシート「COCOON」がその区間運行している事がわかりました。
http://travel.willer.co.jp/seat/cocoon/
以前、パブリシティ記事で「COCOON」のことを見て、「ほう、こんなバスがあるんやねえ」と興味を持ってはいました。HPでダイヤを確認すると、その日、東京駅八重洲口(これが大きな問題になるのですが)午後10時40分発、祇園が翌朝、6時15分という便が運行されており、空席もありました。
HPで見るとシートの形はカプセル状、国際線のファーストクラスのシートみたい。その上いろいろな設備、映画も見られる、ゲームもできる。その上無線LAN もOKとのこと。「おもしろそう」と乗り物好きの私は即、ネットで予約。決済もクレジットで簡単(聞いた息子は呆れておりましたが)。
さて、当日。プリントアウトした予約確認メールをポケットに友人たちと銀座で飲んでいると早、10時過ぎ。そろそろと皆にお別れをして銀座線の銀座駅に。指示通り日本橋で降りたのはいいけれど、さて、どの出口に出たらよいかがわかりません。
八重洲口はいつも新幹線に乗っているから、と高をくくっていたのがいけませんでした。まず、八重洲口のどこかがわからない。正確に言うと「東京駅八重洲中央口 日本橋三丁目交差点(旧名称:八重洲通り・中央通り交差点)」。メールのプリントに文字で書いてあっても、地理不案内の私にはさっぱりわかりません。やはり、事前に地図で確認して、少しゆとりを持って現地に行くべきでした(大人ならあたりまえか…)。
時計を見るとすでに10時30分を過ぎています。通りかかったニ人連れの女性にきくと「場所はわからないが、そこの交差点にいつもたくさんバスが止まっている」とのこと。
おお、やっと思いで、八重洲通り・中央通り交差点について呆然…。交差点の4箇所全てにずっと夜行バスの列。私の乗るべき「COCOON」はどこや!
時計はすでに10時38分。ああ、今日はマンガ喫茶かネットカフェか、と諦めたところになんと「一角さんはおられませんか」と私を呼ぶ声。まさに地獄に仏、天の声。ピンクのベスト・キャップのバス会社の係員が私を探してくれていたのでした。とはいえ、ほとんど偶然のようなもの。いやいや、油断は禁物です。
息を切らせて案内されたバスに乗り込んでびっくり。まず、カーテンがあり、そこを開けると、真っ暗な中にLED照明の列が。まるでSF映画の世界です。
目が暗さになれて、ようやく自分の席を見つけることができました。シートは全て半カプセルになっており、乗っている人の姿はみえません。かろうじてすぐとなりのカプセルが若い男性だとわかりましたが、何人くらい乗っているのかもわかりません。
走って乗り込んだので息も絶え絶え、とにかくカプセルへ。シートに座るとまるでコックピットに座ったような感覚がしました。ただ、左右が狭い。足先も少し窮屈です。
そこここにレバーやスイッチがあり、リクライニングやフットレストを調節しますが、最初はややとまどいました。というのは、説明書があるのですが、暗い上に文字が小さく、老眼では全く判読できません。持参のiPadを照明代わりにしてようやく判読できました。
横浜駅を過ぎたあたりから少し落ち着いてきたので、前の液晶画面を見ながら、映画とかゲーム(ゲームは専用の操作盤がついています)を試したり、世界の風景を見ながらヒーリング音楽を聞いたりして遊んでいると、最初のトイレ休憩の海老名サービスエリアに到着。20分のトイレ休憩。
この「COCOON」のある意味、致命的欠陥はトイレがないこと。高齢者には厳しい。シニア向けの格安バスツアーのようにトイレと土産物屋に1時間ごと停車、なんてことはしてくれません。京都まで、トイレ休憩は後わずか2回です。さんざんビールを飲んでの乗車、ちょっと不安がよぎりましたが、さいわい今回は問題ありませんでした。
トイレから戻ってみると乗務員が無線LANの使用申し込みをもってきてくれました。本来は出発前にする手続きなのでしょうが乗車が遅れたので、その時になりました。意外にしっかりした本人確認で、免許証の氏名、住所を提示させられました。ただ、却ってそのほうが安心して使えるなとも思いました。
で、この無線LANが意外に早い!新幹線のものよりずっと早い。シェアする人数の違いでしょう。iPadもサクサクです。ニュースサイトを幾つか確認して、そろそろおやすみなさい、です。
アルコールも入っていたので気がついたら次のトイレ休憩。バスに戻ると再び、すぐに寝てしまいました。目を覚ますと大津サービスエリア。京都はもうすぐ。寝過ごしてはいけないので(この便の最終目的地は天王寺)ゆっくり身の回りを片付けているうちに夜がうっすらと明けて来ました。
無事、四条京阪前に到着。私とあと3人が下車。いずれも若い方でした。そこから我が家まではタクシーで10分もかかりません。家についたらまだ7時前。これなら、シャワーを浴びて、ゆっくり朝ごはんを食べてからでも朝の太極拳の練習に間に合います。
という訳で、予想していた程、疲れはありません。この前、と言っても20年くらい前、ローリングストーンズの初来日コンサートに夜行バス(ドリーム号)で行ったときは若かったけれど、「もう、乗らん」というほどしんどかったので…。ただ、次の日が仕事、というのであれば、我々の世代にはきついかも。
新幹線とどちらを選ぶと聞かれればやはり新幹線でしょう。運賃は「COCOON」だと約1万円(日によって少し変わるようです)、2500円という深夜バスの運賃(補助席!)もある時代なのでその中では安くはありません。それでも新幹線より3000円ほど安い。ただ、夜の時間を有効に使えるというメリットはあります。
今回乗った「COCOON」のほかにも2階建てバスの1階に4席だけのコンパートメントタイプもある(特別の女性専用車にはパウダールーム、イオンミストシャワー付きもあるそうです)ので、また、乗ってみたいと思います。以上、ご参考まで。
http://travel.willer.co.jp/seat/executive/