2012年02月10日
岳人にはすっかりおなじみだが、表六甲のロックガーデンと対句のように語られるのが、裏六甲のアイスガーデン。有馬四十八滝と総称される数々の滝が氷結し、見事な景観を見せてくれる。
数ある滝の中で凍滝(いてだき:冬の季語)として名高いのが、七曲滝だ。その年の気候によって氷結の有様は異なるが、今年の寒さではきっと見事だろうと思い、早速出かけてみた。2012年2月5日。暦の上ではすでに春ではあるが・・・。
出発はロープウェイの有馬温泉駅。西側のガードレールのある車道をコースに取る。ごく普通のこの道の登りが運動不足の足にこたえる。いくつかの分岐を過ぎて、尾根道にかかり、少し行くと七曲滝への分岐を示す道標が現れる。寒波のわりには雪は少ない。以前に訪れたときは、ここから軽アイゼンとロングスパッツを装着したが、今年は積雪がほとんどないので、軽登山靴のままで、どんどん進む。(結局アイゼンとロングスパッツは使わなかったが、必携です。)
七曲滝に近づくと、両側の崖に氷柱が懸かり深山の風景。1ヶ所凍りついた斜面をトラバースするところが危険箇所。渡されてあるロープを慎重に手繰りながら乗っ越すと、七曲直下に程なく着く。気候にも多いに左右されるが、今回はロープウェイ駅から約40分でたどり着いた。
渓の右岸のトラバース道から、渓身へ降りると、眼の前に氷結した七曲滝の荘厳な姿が現れる。
完全氷結ではなく、一縷の流れが滝として迸っているが、完全結氷に近い。凍った水は、静ではなく、動。即ち、流れている状態の姿を留めている。だから、氷の意匠も様々だ。思いっきり氷柱化するもの、岩を超える水の丸みのまま凍ったもの・・・。厚みのある部分は、蒼みがかり凄味を増している。その姿をしばしご覧いただこう。
百間も似位にも足を延ばしたかったが、時間の成約で今日はこまで。個人的には落差のある分、七曲に軍配が上ると思っている。
帰路は同じコースをたどるだけだが、氷は薄氷に変わってゆく。薄氷は春の季語。肌寒いが日差しはもう春だ。