2014年08月27日
アツアツのたこ焼きを楊枝でプスッ差し、パクッと口に放り込む。そしてハフハフと口の中で転がしながら、適温までさまして胃に収める。これがたこ焼きの醍醐味。上あごがの皮がめくれる位、熱いたこ焼きを頬張るのが正しい食べ方だと思っている。
他府県の友人が大阪の僕を訪ねてくる時、たいていの人が 「美味しいたこ焼きが食べたい。」と宣う。
僕自身食べるコトが大好きで、特にたこ焼きは大好物だから、「よぉーし、それならば!」と、友人の好みに合わせて、店の感じや、店舗周辺の街の雰囲気、次の目的地へ行きやすい立地などを考慮して、毎回はりきって美味しい店を厳選する。
旨いたこ焼きについては、自分なりの好みがあって、行く店はほぼ決まっている。新しい店にあまり挑戦はしない。
しかし、秋の気配が深まる昨今、たこ焼きが美味しい季節に向けて、人気店を比較することにした。比較候補のお店選びのために、パソコンの検索で「大阪」 「たこ焼き」 「ランキング」と入力した時に出てくるサイトをチェックしてみた。
【大阪たこ焼きBEST5】 (7月10日現在)
1位 やまちゃん
2位 たこ焼き道楽 わなか
3位 会津屋
4位 甲賀流
5位 うまい屋
【たべログ 大阪府エリアの上位10店舗】 (7月10日現在)
1位 やまちゃん 本店
2位 会津屋 本店
3位 たこ八 新地店
4位 浪速屋
5位 アスカ
6位 元祖 味穂
7位 うまい屋
8位 たこ長
9位 たこ焼き道楽 わなか 千日前 本店
10位 甲賀流 本店
これらのサイトを参考にしながら、大阪の玄関口である大阪駅からアクセスしやすい梅田、天満、京橋エリアにある店を比較候補に選んだ。ちなみに僕が一番好きなたこ焼きは、この中にはない。文末で紹介しているので、興味のある方は見てみて欲しい。
取材に臨んだメンバーは、42歳男の私、32歳男の通称 “ストイック”、27歳女の“ジョシ”の三名。“ストイック”は、京都のフリーペーパーなどを立ち上げた経験を持ち、食べ物にも一家言ある32歳の男。端正な顔立ちのイケメン。“ジョシ”は、販売促進の企画制作関係の仕事に取組み、ほぼ毎晩、終電まで残業をこなす26歳の女性。色白の和風女子だ。
【梅田エリア】
それでは早速、梅田エリアの調査結果から紹介しよう。
ここのたこ焼きは、“外はふわっ、中もふわっ”。外観は、美しい黄金色。だしの効いた生地はクリーミーで、タコの風味がしっかりしている。特色はソースやマヨネーズなど、何もかけていない素焼きの状態で提供され、客が出汁か生姜醤油、ソースを選んで食べることができる。最初の一個は、素焼きをそのまま味わいたい。
「たこ八」には、たこ焼き、お好み焼、いか焼の3大粉モノにネギ焼きを加えた『大阪セット』がある。たこ焼き4個、お好み焼き半分、ねぎ焼半分、そして卵入りイカ焼が一度に堪能できる。
ここのたこ焼きは、 “外、ふわっ、中、トロ”。破天荒な量のネギがたこ焼きの上に乗っている。とろりとした生地、素材の良さを感じる大きめのタコ、すっきりとした甘辛のソース、それぞれがバランス良く調和した模範的なたこ焼き。常に店の前に列ができるのも頷ける。特色は、立ち食い。テーブル代わりにたこ焼きを焼いているスペースから20センチほどせり出した板を活用。高架下に飲食店が密集した新梅田食堂街の入り口にあり、食べているすぐ後ろをたくさんの人が行き交う。大阪らしいカオス感が満喫できる。
ちなみに32歳男の通称 “ストイック”曰く、『塩梅がよくて味のバランスがとれている。人気店であるのも頷ける。あざとい味がしないのがいい。』 とのことだった。
“外はカリッ、中もトロ”。小ぶりなサイズでまん丸に焼き上げられている。生地は、ソースなしで食べることが前提の醤油だしが効いた濃い味。人によっては、「出汁が効きすぎている」、「醤油味が濃すぎる」と感じるであろうストロングな味付けだった。人間がつくるモノなので、その日のスタッフや、粉の調合、焼いてから提供する時間などが影響しているのかも知れない。
某有名グルメマンガにも登場したことがあるお店だが、辛口の“ストイック”曰く、「 ”美Oしんぼ”のセンスを疑うくらいイマイチだった。」
【天満エリア】
つぎに紹介するのは天満エリア。日本一長い商店街が高名で、様々な食の名店や迷店が軒を連ねており、食通の集うエリアだ。
天満の老舗たこ焼き店で、現在の主は4代目。地元民に愛される名店だ。持ち帰り用は、今では珍しい舟経木に入れてくれる。コレがまたうれしい。たこ焼きは楕円の標準サイズで、“外はカリッ、中はモチモチ”。
素直で誠実な生地の味に、紅ショウガのアクセントが効いていて旨い。
日本一長い商店街の真っ只中に店はある 。“外はややカリッ、中はトロッ”。やや大ぶりサイズでまん丸に焼き上げられている。爪楊枝で持ち上がらないくらい柔らかい。ソースは、甘みと酸味のバランスが良く、プレーンな生地との相性も抜群。
優等生タイプのたこ焼き。たこは少し小さめだ。
“外はやわやわ、中はドロドロ”。店名に違わず大玉サイズのたこ焼きだが、生地に水分が多すぎる感じで風味も良くない。ソースも個人的には好きなタイプではなく、「美味しいたこ焼きを食べた」感はうすい。
ボリュームは圧倒的なので、ソースやマヨネーズをたっぷりかけて、腹を満たすには良いかも。
【京橋エリア+番外 阿倍野】
そして最後は、京橋エリア。「京橋はっ ええとこだっせ グランシャトーが おまっせ♪」のCMソングで有名なファンキーなエリアだ。
百貨店の地下の一画にあるお店。外界の暑さ、寒さとは無縁で、快適にたこ焼きを食べることができる。ここのたこ焼きは、“外はやわ、中はドロ”、ほんのり出汁の味がする朴訥タイプ。ソースをかけずに食べるのが王道。ここの特色は、寿司屋のようなガリがつくこと。通はこのガリをたこ焼きの上にハラリと一枚のせて、ガリで巻くようにして食べる。自分もこの食べ方が気に入っている。飽きのこない味だ。
しかし人の好みはそれぞれで、 “ストイック”は、『リピートはしない。』 と断言していた。
にぎやかな京橋の商店街にあるお店。店先の簡易テーブルでビールと一緒にたこ焼きを楽しむ人も多い。大玉で“外はやわ、中はドロ”。生地にしっかりと味がついていて、そのままでも充分食べられる。
天かすがたっぷり入っていてハイカロリーだと思うが、「これが旨さの秘密では?」 と独り合点している。
【エリア外】
番外として、今回の対象エリアではないけれど、多くのランキングサイトで高評価のアベノにある「やまちゃん」にも行ってみた。「やまちゃん」は、大阪の新名所 あべのハルカスのすぐそばにある。
文句なしに旨い、野暮ったくて旨い。さすがは人気No.1である。“外はカリ、中はトロ” メリハリの効いた食感が楽しい。見た目は、楕円にくずれたものが多くあまりよくないが、味が良いので良い。生地は、鶏ガラに約十種類の果実・野菜で4時間煮込んだスープと、昆布・かつおの和風だしをブレンドして出来た自慢の生地とのこと。
独特のネーミングがされたメニューが楽しい。そのまま食べる”ベスト”、これが一番おすすめらしい。
【蛇足:僕の一番】
僕が一番好きなたこ焼きは、梅田の東通り商店街をズイズイと東へ進み、アーケードが切れてからまだ少し歩を進めた雑居ビルの2階にある。店の名前は、”AFTER HOURS(アフターアワーズ)”。たこ焼き屋さんではなく、ブルースバーだ。
こんな感じの初老のマスターがやっている。
とにかく僕は、ここのたこ焼きが一番好きだ。ごま油の香ばしい香りが良い。マスターが考案した”お酒に合うたこ焼き”だ。店は広くはなく、ほぼ常連さんばかりなので少し入りにくいと思う。「遊民悠民を見て来た」と言えば、(言わなくても)大歓迎してくれるとのことなので、自己責任で、一度立ち寄ってみて頂きたい。濃い大阪を堪能できると思う。
文責: ゴリ くまさんチーム