2014年10月23日
きっかけは「探しにくい本屋って、どういうことだ!!」という隊長の憤り。休みに地元で覗いた本屋が、配列から何から探しにくくて困ったそうです。
読書の秋でもあるし、この際、本屋によって違う使い勝手を比較してみるのも面白いかも…というわけで梅田の大型書店、2店を巡ることに。日本最大の広さという
MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店(以下MARUジュン書店)と、話題スポットに登場した紀伊国屋書店グランフロント大阪店(以下紀伊国屋GF店)。 いずれも2010年、2013年オープンの新しい書店です。
ちなみに「私の好きな本屋さんランキング」(毎日新聞2013年11月)では、一位が紀伊国屋、二位がジュンク堂、丸善は四位でした。全国的に人気の書店の新しいお店を覗くというので、期待が高まります。
「私の好きな本屋さんランキング」2013
http://www.1book.co.jp/005289.html
MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店
http://www.junkudo.co.jp/mj/store/store_detail.php?store_id=13
紀伊国屋書店グランフロント大阪店
http://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Grand-Front-Osaka-Store/
まずは日本一の広さを誇るMARUジュン書店。安藤忠雄氏建築のチャスカ茶屋町のB1~7階を占め、総面積は2060坪です。ジュンク堂書店は、どの店舗も整然とした配置で探しやすい印象ですが、ここ茶屋町の梅田店は、広いだけにその探しやすさがモノを言います。
フロアごとに明快に分かれたジャンル。フロアマップも各階の同じ場所に目立つように設置され、検索相談コーナーも各階にあります。棚列が見通せる中通りのあるレイアウト。棚から通りに突き出るような幟が、わかりやすい!
階層スタイルのMARUジュン書店に対し、紀伊国屋GF店は、グランフロント南館6階のワンフロア。総面積は1060坪とMARUジュン書店のほぼ半分ですが、
低い棚や島展示で視野が遮られないゆったりした空間づくりになっています。ただ、配置については最初ちょっぴり戸惑う部分があるかもしれません。
広さ日本一ってことは、蔵書量もすごいということ。MARUジュン書店はどのジャンルも圧巻です。
「ビジネス書、MARUジュン書店は欲しいものは何でも揃いそう。紀伊国屋は売れ筋っぽいものはきちんと揃えてある感じ」(隊長)
同じ趣味でも、ぐっとシブ路線の私ことアンリは詩歌コーナーをチェック。
「棚列を比べてもMARUジュン書店は倍近くあるかも。愛読する『ひらのこぼ著』を見るとMARUジュン書店では、俳句発想法シリーズ6冊、歳時記4冊が揃う。紀伊国屋は最新の文庫本1冊のみ」(アンリ)
たくさん見たい、豊富な中から探したいならMARUジュン書店がよさそうです。
豊富なことは良いことだ! でも、多すぎて迷う、ということはないですか?
私は絵本を見る用があったので、ついでとばかり2店の児童書コーナーを訪れました。
MARUジュン書店で児童書は7階にあり、参考書・語学書とフロアを2分しています。まずは児童書が7階ってどうでしょう?エレベーター、エスカレーターがあるというものの、ちょっと面倒な気がしました。
紀伊国屋もグランフロントの6Fですが、入ってしまえばワンフロアなので、子どもと児童書を見がてら、お母さんが料理本を見ることもできるし、あまり面倒な感じはありません。
「MARUジュン書店で『本見てきていいよ』とママに言われて女の子が離れていくシーンが、なんだか寂しいなあという気がして…なんて、自分も子どもはほっておいて好きなコーナーに行きますけどね(笑)」(隊長)。
でも、たとえコーナーは離れたとしても、別のフロアより、同じフロアの安心感、やっぱり違います。
それとMARUジュン書店は種類も多く、分類もいろいろしてあってさすがと思ったのですが、私はその多さに少々お手上げ。紀伊国屋のほどよい量が探しやすく、にぎやかな感じもあって楽しく選べました。
MARUジュン書店は年長の子どもや教育熱心なママによさそう。小さなお子さんと楽しく選ぶなら紀伊国屋の方が向いているかもしれません。
本をじっくり選んだり、試し読みしたり、一息つきたい時に腰を下ろせるコーナーはありがたいですね。紀伊国屋GF店には大開口から光が差し込むサンルームのようなテーブルコーナーがあります。周囲には美術書がインテリアの一部のように展示されていて、手に取ってゆったり見るのにふさわしいスペースです。書店内にスターバックスコーヒーがあるのも、うれしいポイントです。
MARUジュン書店は棚の脇にちょっとしたベンチが置かれているのが便利。すぐに腰を下ろせるし、高い棚の本を取る踏み台にもなります。
ただし、居心地の良さでは紀伊国屋のテーブルコーナーに軍配があがります。
これは3人見るポイントが違ったようで意見はばらばら。
「MARUジュン書店は1階に映画パンフコーナーがある。POPはコミックコーナーはまあがんばっていたかな。紀伊国屋はあまり印象がないなあ」(隊長)
「MARUジュン書店はあまり目立たない一角でフェアをやっている印象。紀伊国屋はパネルや、動画を流して盛り上げていた」(ハピ子)
「紀伊国屋は朝の連ドラで話題の『マッサンとウイスキー』特集やハローウィン、あと、島展示でプチ特集が目に付いた。MARUジュン書店はエレベーターホールなどでフェアなどやっていたけど、大人しくて目につきにくかった」(アンリ)
2店をざっと見たところで3人が比較ポイントに付けた点数は以下の通り。
なんと、同点に。MARUジュン書店は品数とその探しやすさで好評価、一方の紀伊国屋は居心地等の項目で点数を伸ばしました。
「広さの違いは別として、2店は目指すコンセプトが違う。MARUジュンは日本一の品数とその探しやすさ。『目的を持って探す』人向き。紀伊国屋は買い物客の動線や人気の品揃えを意識していると感じた」(隊長)
「確かにMARUジュンの検索性はすごい。一方、紀伊国屋の陳列は『ジャンルミックス』と『クロスオーバー』がキーワードらしい。そう思ってみると、最初ちょっと迷った配置も楽しく見えてくる」(アンリ)
「探しやすいレイアウト、MARUジュンの方に点数を高く付けたけど、好きなのは紀伊国屋の方。客観的な点数と気持ちにズレがある」(ハピ子)
ここで、「そもそも本屋にはなぜ行くの?」を改めて考えてみました。
「単に本を買うならネットが便利。リアルの本屋は、アイデア触発の場として使う」(隊長)
「リアルの本屋には、特に探していなかった本との出会いや意外な発見がある。買わなくても、『今の人気は?』とかに触れる楽しみもある」(アンリ)
「最近も手書きPOPに惹かれて買った百田尚樹の『プリズム』読みました。本屋には出会い、発見がある。楽しいです」(ハピ子)
というわけで、「楽しさ、わくわく感」という項目を加えて比較した結果は…
最終合計では紀伊国屋の優勝と相成りました。
「ぶらぶらするなら断然、紀伊国屋。GF店は私のこれまでの書店めぐりの中でもかなり上位にランクしました」(ハピ子)
「2店は陳列の考え方が違うから、それぞれいいけど、出会いや発見を求めるなら、平台や島展示は目に付きやすくて印象的。これも紀伊国屋に点数入れたポイントかな」(アンリ)
「私的には蔵書量より、テーマやジャンルの関連性を重視したい。まるで関係ないわけではないけれど意外なジャンルが側にあって目に付くことで、アイデアを刺激されることも。ジャンルがフロアで分かれたMARUジュンはそこが難しい。そういう意味で私の求める本屋はワンフロアがベターかな。
ただ紀伊国屋ももう少しクリエイティブな雰囲気が欲しいけど」なんていう隊長のお気に入りのアイデア刺激書店は、東京勤めだった時の青山ブックセンターだそうです。
ちなみに以前、デザイナーさんに聞いたアイデア刺激書店は、ミナミのスタンダードブックストア。雑貨と本が混在する店舗で、買う前の本も併設のカフェに持ち込んで読むことが出来ます。最近、MARUジュン側のNU茶屋町に、小規模ながら梅田店がオープンしたようです。
来年2015年春には大阪駅ビルに蔦屋書店がオープン。また現在閉店している旭屋もリニューアルオープンするなど、梅田は大型書店の激戦化がさらに進みそうです。本屋好きとしては楽しみですね。
みなさまも読書の秋、大型店、町の本屋さんを問わず、書店巡りで、新しい出会いを探しませんか?
◆青山ブックセンター
http://www.aoyamabc.jp/store/honten/
◆スタンダードブックストア
http://www.standardbookstore.jp/