2014年12月07日
いまや激動のお米界。
このごろは各地のニューフェイス達ががぐんぐん力をつけてきており『魚沼産 コシヒカリ』もうかうかしていられない状況になってきました。
美味しいお米が増えたなら、いろいろ食べてみなきゃ損!
日本人たるもの、米を語れずして何を語ろうぞ。
意気込みたっぷりでスーパーに行くと当然ながら一番少なくて2kgから、お財布にも厳しい。かといって近所に量り売りしてくれるお米屋さんもないし。と、いきなり壁にぶつかりました。
とりあえず先人の知恵を借りようと「新米 食べ比べ」で検索…
あ!食べ比べや引き出物用にいくつかの銘柄を少量ずつ詰めてくれるお米屋さんのサイトがたくさんあるではないですか!
各銘柄の説明を見ていると…
■ 北海道産 ゆめぴりか
2009年にデビューした北海道の最上級ブランド米。
炊き上がりは軟らかさ、艶ともに抜群で、冷めても豊かな甘み・旨味が変わることはありません。
■ 山形県産 夢ごこち
コシヒカリの改良品種で、濃厚な味は一度食べるとヤミツキ。
冷めても美味しく、冷凍・再加熱しても食味が低下しにくいので、お弁当などに最適です。
■ 長野県産 ミルキークイーン
冷えても硬くなりにくく、おにぎりやお弁当にぴったり!
炊飯後に保温してもパサパサせずに美味しく便利な人気のお米です。
(心の声)…『冷めても美味しい』ってよく見るけど本当なのかな。
毎日お弁当を作る人、食べる人にとって『冷めても美味しい』は魅力的。(かろうじて)お弁当女子の筆者も時間の経ったご飯を食べるたび『やっぱり炊き立てが美味しいな』と思う毎日です。
そこで今回は「本当に冷めても美味しいの?」「一番お弁当にぴったりなのはどの銘柄?」というのを検証したいと思います!
さてさて、注文した次の日、さっそく3種のお米が3合ずつ届きました。新米のシールがなんとも輝かしい!
今回の対決は、説明文に『冷めても美味しい』の記述があった、
山形県産 夢ごこち
VS 長野県産 ミルキークイーン
VS 北海道産 ゆめぴりか です!
★ここで農学部出身の筆者から簡単なお米講座
※興味がない方はズズズっと読み飛ばしてくださいね
品種改良により銘柄が増えていますが、もちろんそれぞれ個性豊かです。お米の特徴を語るうえで外せないのが、食感。
かため、やわらかめ、そして日本人が一番好むといわれている『もっちり』!感じ方はそれぞれですが、代表的な銘柄を食感で分類するとこのよう分けられます。
今回対決するお米は運命的なことに同じ『粘りもっちり系』実は、『冷めても美味しい』と『もっちり』には密接な関わりがあるのです。
お米は80%がデンプンでできているのですが、このデンプンというのはアミロースとアミロペクチンという多糖類の混合物。この2つの割合は品種や生育環境によって微妙に異なります。この割合がお米の食味に大きく影響を及ぼす要素のひとつ。このうち、アミロペクチンの特性が、そう!『もちもち』で『冷めても硬くなりにくい』なんです。
たとえば、モチ米はアミロペクチンがほぼ100%。ウルチ米もアミロースとアミロペクチンの量でこんな風に分類されています。
『もっちり』好きでお弁当を作る機会の多い人は
ぜひ『低アミロース米』で検索してみてくださいね。
ぴったりのお米に出会えるはずです!
本当はタンパク質の吸水阻害についても語りたいのですが…
本題に戻ります。
まずは、炊きたての部!
■ 山形県産 夢ごこち
もうすぐ炊き上がるかな~と思っていたその頃でした。
ん、なんだかご飯のいいにおい!!?炊飯器からゆうに10mは離れている位置から確認できるほどの強い香り!炊飯器を開けた瞬間といったら、もう。湯気を思いっきり吸い込んでうっとり…
食味の第一印象は…「もち米っぽい!」
もちもちで美味しい~
香りとは裏腹に、お味は割とあっさり系です。
良い具合に粘りがあって、
これは絶対冷めても美味しいよね!と期待が高まります。
■ 長野県産 ミルキークイーン
炊き上がりにしゃもじをいれると、明らかに先ほどの『夢ごこち』より軽い。
たっぷり空気を含んでふっくら炊きあがっている証拠です。
口に含むとやっぱりエアリーでふっくら食感。粒は大きくてしっかり粒感があります。見た目のツヤツヤもそそる!
お味はミルキーというよりかはかなりオールマイティーな印象で味付け海苔やしょっぱいおかずが欲しくなるね、と意見が一致しました。
■ 北海道産 ゆめぴりか
今一番話題の『ゆめぴりか』の実力はやはりなかなかのもの。
『夢ごこち』とまではいかないものの香りもよし、見た目も一番銀シャリっぽい!
口に含むと舌触りがツルツルで弾力があります。何よりも3つの中では1番味がしっかりしていました。噛むほどにうまい!あまい!、とはこのこと。
おかずに負けない“THE美味しいご飯”の味がしました。さすが新潟県民がライバル視するだけあります。
ここまでは予行練習。
残りはお弁当を想定して常温で冷めるまで待ちます。
さて、ここからが本番!
20~40代の総勢5名で冷やご飯を食べ比べです!
■ 山形県産 夢ごこち
お!!全然硬くなってない!
冷めてももちもちだ~
『冷めても美味しい』の文言に偽りはないようです。
香りは冷めてもやっぱり◎!まさにお弁当でよくある感じのご飯。クセがなくて食べやすいですよね。
「これなら梅干1個入れとけば十分だったりして…これは主婦の味方!?」と三児の母も絶賛です。
■ 長野県産 ミルキークイーン
なんかしゃもじからの粒離れが明らかにいいですね、
と食べる前から『夢ごこち』と違いがはっきりしていました。
やっぱり冷めてもエアリーな感じ。容器の中に詰められても空気をたくさん含んで一粒一粒しっかりと残っています。『夢ごこち』よりもっちり感は少ないですがやっぱり硬くなってはいません!炊きたての時のまま水分が多くて舌触りがツルツルです。
こちらはお弁当のご飯というよりかは何かルーなどを絡めるのにぴったりですね!ハヤシライスなんかとっても合いそうです。今日はご飯だけ持ってってレトルトカレーにしよう!という日はぜひミルキークイーンをおススメします!
■ 北海道産 ゆめぴりか
ん、口に含んだ時の甘さがすごい!やはり味が一番しっかりしてるのは『ゆめぴりか』です。味の濃いおかずにも負けなさそう!パリッとした食感のソーセージが欲しいという意見も。
もちろん他の2者同様硬くなってはいません。粘り気があるというよりかはコシがしっかりしています。食べ応えがあるので、満腹感が一番得られるのは『ゆめぴりか』かも?
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とにかく、今回の食べ比べで分かったことは
『冷めても美味しいお米』は冷めても美味しい!!!
3者炊きたてのままの特徴を5時間後までしっかり残し、温めなくても十分美味しくいただけました。これは甲乙つけがたしです…
★ さて1番お弁当にぴったりなのは?
『夢ごこち』の柔らかくて粘り気のある食感、クセのない食べやすさが勝利の決め手でした!
3種銘柄食べ比べてみて…筆者個人としては『ゆめぴりか』の味と食感に首ったけ!お米の世界は奥が深い!これからもインターネットを利用して色々食べ比べるぞ~
いつも同じお米を食べていたり、一番安いお米を選んで買っていたりする皆さんも、この機会にぜひお米の食べ比べをしてみてくださいね。お米に精通すると『食』がもっと楽しくなるかも?!
余談ではありますが、今年はいつにもなく米価が下がってしまいました。安く買える私たちにとっては嬉しいものの、農家さんにとっては大打撃。このまま下がり続けると、コメ作りをやめてしまう農家さんも増えるといいます。年々お米の消費量も減る一方ですが、もしも日本からお米がなくなったら…?考えただけでゾッとしますね。今日も農家さんに感謝して一粒一粒大切にモリモリいただきましょ~う。
お米、ばんざい!
やわら(ゾウさんチーム)