2013年10月30日
王者「日清のどん兵衛」にコンビニPBはどこまでな肉迫できるか?
即席めんの国内年間消費量は、なんと53.1億食(2010年)。うち袋めんが16億8844万食。一方、カップめんは34億7032万食と全体の66.1%を占めている。1989年にカップめんが袋めんを追い越して以来その差はひろがる一方と言う。
カップめんの成長は、コンビニの伸びとある部分シンクロしている。購入場所を見ても明らかで、袋めん95.7%がスーパーで購入されているのに比べ、カップめんはスーパーとコンビニが分け合っている。(データは社団法人 日本即席食品工業協会べ)
ご多分に漏れず、この分野でもメーカーが共同開発したコンビニPBがその勢力を強めてきた。今回は百花繚乱の感のあるラーメンではなく、カップきつねうどん・天ぷらそばに品目を絞り、王者「日清のどん兵衛」とセブンイレブン、ファミリーマートの各プライベートブランド商品(以下PBと略)を食べ比べてみた。
インスタントのうどんと言えば、「日清のどん兵衛」。異論を唱える向きは少ないだろう。1976年誕生のロングセラーであり、最近では渋谷の駅ナカにも『専門店』を出店するなど、その存在感は今も増し続けている。改良に改良を重ねてきた商品に、コンビニPBは、どこまで肉迫できるのか?まさかの逆転はあるのかが、今回の“比べてみました”のポイントである。
問題は何を比べるか、だ。食欲をそそるパッケージデザインや、持ちやすく食べやすい容器の形状も大切だが、実質本位に“価格”と“味”に特化して比較を実施した。味については、おいしさを左右する3つの要素、 “麺”、“だし”、“具”のに分けて評価した。
まず、王者「日清のどん兵衛」から。
「『うどん』ではなく、『カップうどん』のジャンルでは他の追随を許さないのでは?」
「だしは風味よく、ほどよい甘味。めんはもっちり、つるつるしていて完成度が高い」
「比べると一番、うどんっぽいですね。甘味はあげから流出しているのでは?」
「バランスよくおいしい。あげももっちりしていますね。」
一同文句なしで、「日清のどん兵衛」に軍配が上がった。なめらかな麺と、かつおの風味が程よく効いただしのバランスが良い。具のあげもボリューム、味ともに頭抜けていた。
さて、今売り出し中のコンビニPBカップうどんはどうだろう?
まずはファミリーマートから。
「どん兵衛よりだしは少し辛い気がしますね」
「それなりにまとまっている。」
「香りがよく、味もしっかりしていますね。」
「だしは健闘していると思いますが、若干化学調味料っぽいのが残念」
一方セブンイレブンの方は…
「だしが濃い気がします。いかにもインスタントという感じでしょうか?」
「わたし的には、塩辛いです。もう少し味が薄ければずいぶん印象が違うかも…」
「化学調味料の感じがしました。古典的なインスタント食品の趣き?」
コンビニPB同士の比較では、だしと具でファミリーマートが一歩リード。セブンイレブンにはやや『辛口』の評価と残念な結果となった。ことにセブンイレブンのおあげさんは、細かく刻んであり食感にやや欠けて、「これではきざみうどんだね」という声も。
手軽さが身上のカップめんに健康云々を語るのはお門違いかもしれないが、一番おいしい「日清のどん兵衛」が、1番塩分もカロリーも多い。しかし総量で塩分、カロリーを割り算した1gあたりの数値はもっとも低く、総量の多さがこの結果をもたらしている。
全体に言えることだが、麺は具やだしほど、評価の対象のウェイトは高くならなかったようである。やはり、うどんはだしが勝負。ただし、総じて味が濃いので、もっと薄味でもよいという声が全員から上がった。関西仕様でこれだと、東京ではどうだろうと少し気になった。「日清のどん兵衛」のようにだしが別袋になっていれば、調味料の量を調整して、味を好みに応じて調整できるので良いという声も上がっていた。
引き続き行った、天ぷらそば対決。こちらもきつねうどん同様、圧倒的大差をもって「日清のどん兵衛」に軍配が上がった。
「フタを開けた瞬間の香りが全然他と違います。それに天ぷらとのマッチングも素晴しい」
「麺に蕎麦の香りが漂っていて、完成度が高いですね」
「無難だが破綻はしていない、というところでしょうか? 麺のおそばも本物に近い」
「全体的にバランスがとれていますね」
本物のそばに肉迫しようとしているところが好感を呼んだようだ。
続いてファミリーマート。
「おだしの色が黒い。関東風? 具の印象も薄い」
「塩辛い上に、天ぷらが少し油っぽいと感じます」
「これといった印象にかけますね。塩分は少し強めかなあ…」
最後にセブンイレブン。
「だしはしっかりでていると思いますよ。エビの味かな?」
「だしは健闘している。すこし甘目ですね。」
「具が意外にしっかりしています」
セブンイレブンで特徴的だったのは、麺がカップヌードルに近いということだった。過半数のメンバーが指摘していた。実際はどうなんだろう?
そばという食材のせいか、「蕎麦感」が評価の分かれ目になったのが、うどんとは少し異なる傾向。しかし、だしについてのこだわりは、ここでも強かった。やはり日本人。和食の基本のだしについては、妥協を許さないようだ。
たかがカップめん、されどカップめん。小さな容器に込められた技術革新はこれからも進んでゆくだろう。さらなる食感向上を各社に期待したい。
※文中の評価はあくまで、個人の好みによる印象評価であり、客観的事実とは異なります。