2013年12月12日
「日経トレンディ」が発表した2013年のヒット商品、1位に輝いたのは「コンビニコーヒー」だとか。少し前まではスタバに代表されるシアトル系コーヒーが、カプチーノなどエスプレッソベースのアレンジコーヒーを流行させていましたが、最近は「豆にこだわった」、「挽きたて」「自家焙煎」などを謳い文句としたドリップコーヒーが注目されています。こうしたコーヒーのブームのおかげで、前に比べると美味しいドリップコーヒーに出会える機会が多くなりました。
そんな中、よりコーヒーを楽しむために覚えておきたいのが、抽出方法によるの味わいの差。ペーパードリップやネル、サイフォンなどスタンダードなものの他、フレンチプレスやエアロプレスなど様々な抽出方法があります。これらの違いは、コーヒーの味にどれくらい影響を与えるのでしょうか。実際に飲み比べてみました。
この前篇ではまず、コーヒーの抽出時に味を左右する条件、また比較する抽出方法について簡単にご紹介します。
■味を左右するコーヒー抽出時の条件
抽出時の湯温
温度が高いほど苦味が立つ傾向に。雑味が出るのも早い。
また、成分の抽出が早い。
温度が低いほど苦味を抑えて酸味が立つ傾向に。
成分の抽出には時間がかかる。
粉量
湯量に対して多いほど苦味が出て濃く、
少ないほど酸味が立って薄く。
豆の挽き具合
細かいほど苦味や雑味が出て濃く、粗いほど酸味が立って薄く。
浸漬時間
長いほど苦味や雑味が出て濃く、短いほど酸味が立って薄く。
※抽出される油分
コーヒーオイルと呼ばれる油分は、コーヒーの味や個性の決めての1つ。
ただ、焙煎後から酸化が進んでどんどんと味が落ちていく。
新鮮なコーヒーオイルには甘味とコクがあり、抽出されることでコーヒーがまろやかに。
酸化したコーヒーオイルは雑味、えぐ味を増し、重たく不味いコーヒーの原因に。
■抽出方法の特徴
ペーパードリップ
言わずと知れた最もスタンダードな方法。ろ紙でコーヒーのえぐ味や雑味を除いて美味しい成分を効率的に抽出します。ろ紙が油分をある程度カットするので、すっきりしたコーヒーが淹れられる点が長所。片づけや管理も簡単です。ただ、新鮮な豆で淹れる場合はコーヒーオイルがあまり抽出されず、美味しさを引出しきれないことも。
ネルドリップ
ペーパーの代わりにフランネルで濾す方法。紙よりも多くの油分を抽出できるので、新鮮な豆の場合はまろやかな味わいに、逆に古い豆の場合は酸化した油分のせいで不味さが引き立ちます。良い豆を使う前提であれば、個人的にはこの淹れ方が一番バランスが良くて好きです。ネルは使用後に煮沸したりしないと管理や後始末が大変ですが。
サイフォン
サーバーに入れた水を沸して、粉をセットした漏斗部分に上昇させ、サーバーと漏斗部の間にセットしたフィルターで濾す方法。フィルターは紙とネルの両方があります。一番の特徴は、構造上すべからく95℃前後の高温で粉と湯が混ざり合い、コーヒー豆の個性がしっかり引きだされること。ある程度はフィルターで濾されますが、ペーパーやネルに比べてずっしりとして、苦味もしっかり出ます。
フレンチプレス
一定時間、粉を湯に浸してからフィルターのついたブランジャーで粉を沈めて上澄みをカップに注ぎます。浸すことでコーヒー豆の個性をしっかりと引き出せるのはサイフォン同様ですが、湯温の調整も効くのがポイント。豆の成分、つまり個性を存分に引き出せるので自家焙煎にこだわるロースターなどでは、この淹れ方を推奨するところも多いです。フィルターの目が荒く油分も微粉もたっぷり混ざるので、名前と違ってとても野性的なコーヒーに。
エアロプレス
空気圧をかけながら紙や金属フィルターで濾して抽出します。抽出時間が短いわりに、しっかりと成分を引き出し、油分や雑味もカット。エスプレッソとドリップの中間をとった最新の抽出方法です。コツをつかめば安定した味のコーヒーを短時間で淹れることができ、片づけや管理も簡単。北欧の著名コーヒーショップやカフェで愛用されていて、オシャレなイメージとともに注目を集めています。
以上、5つの抽出方法を比べてみます。比較にあたっては、大阪北区にあるELK COFFEEさんご協力のもと、できるだけ抽出方法以外の条件はフラットにし、抽出方法による味わいの変化にフォーカスできるように整えていただきました。
これに、コーヒー好きからコーヒー苦手も交えた4人で臨み、飲み比べていきます。
その模様と結果は次回の後篇で!
■協力・飲み比べ実施場所:
ELK COFFEE(エルク コーヒー)
大阪市北区西天満4-6-5イヅツビル 1F