2014年10月09日
ノンアルコールビール、正式には「ビールテイスト飲料」。アルコール度数が1%未満であればノンアルコールビールとして認められます。
かつて美味しくはないけれど、運転する時や妊娠中にやむなく、という代替飲料というイメージでした。しかし最近の調査でダイエットや健康のためか、夕食時など家でもあえてノンアルコールビールを選ぶ人が増えています(【DIME REPORT】2014年7月)。
メーカーも次々と本物のビールの味に迫る新製品を発売し、2013年の出荷量は2009年の3倍近くに。最近ではビールだけではなく、ノンアルコールのカクテルや、ワイン、ハイボール、吟醸酒などもでています。
そこで代表的なノンアルコールビールとその派生製品をメンバー3名で飲み比べてみました。
飲み比べたのは次の8種
1.アサヒドライゼロ ノンアルコールビール
【キャッチフレーズ】 気にあるあなたに。カロリーゼロ、糖質ゼロで切れ味!爽快!
2.キリンフリー ノンアルコールビール
【キャッチフレーズ】 安心っておいしいね。無添加 人工甘味料・調味料・着色料・酸化防止剤不使用
3.サントリーオールフリー
【キャッチフレーズ】 麦芽がおいしいノンアルコール。アルコールゼロ、カロリーゼロ、糖質ゼロ
4.サッポロプレミアムアルコールフリー
【キャッチフレーズ】 ノンアルコールにノドが鳴る。
5.テキサスセレクト(アメリカ産)
【キャッチフレーズ】 テキサスセレクトはノンアルコールビールの決定版です
6.サントリーオールフリー シトラスクール(期間限定)
【キャッチフレーズ】 喉通りがひんやりと感じる“クールフレーバー”で夏にピッタリ
7.アサヒドライゼロ ブラック
【キャッチフレーズ】 キレとコクのブラック。カロリーゼロ、糖質ゼロの“黒ビールテイスト”誕生。
番外 ルートビール A&W
飲み比べる前に簡単にノンアルコールビールの製法を紹介しておきます。ノンアルコールビールはメーカーや製品によって製造方法に違いがあり、代表的なものはだいたい次の3つに分類できるようです。
①通常のビールを製造しアルコールを除去する。
外国産のノンアルコールビールに多い製法です。通常のビールを作った後にアルコール除去をする。今回の中では「テキサスセレクト」がその方法で作られています。
②麦汁や香料などを調合してビール味を作り出し炭酸を入れる。
日本で作られているノンアルコールビールの多くはこの方法を採用しています。今回の中ではサッポロの「プレミアムアルコールフリー」をのぞいてこの方法です。ただ、アサヒの「ドライゼロ」は麦汁を使用していません。
③ビールを製造する際に酵母によるアルコール発酵を抑える。
サッポロの「プレミアムアルコールフリー」は最近、製法が変わり、酵母を使って作られているそうです。
では飲み比べの結果は
前評判が高かった本命「サントリーオールフリー」の評価がいまいち。ダークホースの「テキサスセレクト」の健闘ぶりが光りました(テキサスセレクトはノンアルコールに分類されますが0.5%アルコールが含まれていてそれが効いているのかもしれません)。メンバーは以下の3名。
◆ひるあんどん(40代 男性)
アルコール全般人並みに好むのだが、食事の時はやはりビール派。家飲み中心なので今までノンアルコールビールにあまり関心がなかったが、近年リターンライダーとなってツーリング帰りに仲間と夕食というときなど、その有り難さを実感。
◆レキジョ(20代 女性)
アルコールは普段からあまり飲まないが、私を除く家族全員がビール好き。実家には常に3種類ほどのビールや発泡酒を箱買いでストックされている。30代目前ながら、まだまだお酒からは縁遠い感じです。
◆ひげジイ
シニアのご多分に漏れず、カロリー、プリン体…などの理由でもっぱら酎ハイに。ただ外で食事をするときには「生中」からですね。ブランドにはあまりこだわりません。今回の飲み比べで昔のまずーいノンアルコールビールから格段に進歩しているのに驚きました。
総合順位は最後にしてまず、個別に各メンバーのコメントと評価を。各メンバーが「味」「香り」「のどごし」「キレ」「泡立ち」「色」の6つの軸で評価し、それをまとめています(各レーダーチャート)。
1.アサヒドライゼロ ノンアルコールビール
◆ひるあんどん
何も言われなければビールと思ってしまうくらい自然にビールテイスト。ビールに合う料理に対してはほぼ代役が務まりそう。缶のデザインがスーパードライにそっくりなのも視覚的に効果大なのかも。(笑)とは言えしっかり味見していくとやっぱり漠然と「淡白」な印象は拭えませんね。アルコールの存在は偉大だなぁ。
◆レキジョ
ひるあんどんさんも言ってたけど、缶のデザインがスーパードライそのもの。いくつかWebで口コミを見たけど、消費者からものデザインの点は評価が高いみたい。視覚的は良いけど、普通のビールと間違えて買っちゃいそう。注いだ時の香りもビールに近いし、味はまさに「薄いビール」。ちょっと時間がたって気の抜けた感じ!?
◆ひげジイ
一番普通のビールに近い印象。もともとスーパードライがスッキリ系の味わいなので、その点を踏襲しているようです。その分、味が薄いような気がしました。「ドライ」というのはビールの「キレ=アルコール」が身上なのですが、アルコールなしではよく頑張っていると思います。いかにもビール、という缶のデザインも好感が持てます。ノンアルコールビールは一種の思い込み、錯覚も大切だと思います。スッキリした味わいから鮨や和食に合いそうです。
2.キリンフリー ノンアルコールビール
◆レキジョ
グリーンの缶が爽やかなイメージ。無添加なのが他のビールと差をつけているみたい。香りはアサヒより穀物の香りが強いなぁ。肝心の味は…ちょっと私はムリでした。すごく味にクセがあって後に残るね。サイトを見るとカクテルのアレンジメニューがあったので、ジュースなどで割った方が飲みやすそう。
◆ひるあんどん
ビールとは違う方向性の香りがしますね。あまりビールを意識せず飲んだ方がしっくりくるかも。ただメーカーとしてあくまでビールに近づけたつもりだったらまだ発展途上と言わざるを得ないなぁ。ラガービールをつくってる老舗だけに今後の頑張りに期待します。お好み焼きなどソース・マヨネーズべったりの濃いメニューには合いそうに思います。
◆ひげジイ
私はこの味はダメですね。昔のノンアルコールビールのなんとも言えない「臭み」を感じてしまいます。後味に「えぐ味」も残るような気がします。これなら食事の時は普通にお茶のほうがいいです。多分、アルコールだけでなくその他の成分をゼロにするためにやや味が犠牲になっているのでは。いっそキリンらしいもっと苦味を効かした味の方向へ持ってゆけばいいのでは、と思いました。バーベキューや焼き鳥といったジュウジュウ系の料理なら案外合うのかもしれません。アウトドア派向け?
3.サントリーオールフリー
◆ひげジイ
何よりお酒=アルコールが好きな同い年の友人がドクターストップで禁酒の憂き目に。それでもお酒(もどきでも)が飲みたいと毎日、ノンアルコールビールで晩酌している彼がおすすめのものがこのオールフリーだったので期待して飲みましたが、意外に私には美味しくは感じられませんでした。悪くはないのですが、どうもビールとは違う味に感じられて馴染めません。私よりビール好きの友人が勧めているので、私の好みに合わないだけかもしれません。
◆ひるあんどん
実はわが家のすぐ近くにウイスキー醸造所もビール工場もあるのでサントリーには個人的に好感度高いんですが、この味に関しては「どうした!サントリー!」って気分になりましたね。キリンよりさらにクセのある香りがしました。たとえるなら「ヨモギ」とか「柿の葉寿司の柿の葉」みたいな香り。これは今回私だけが感じたようですが。
◆レキジョ
下調べ段階ではノンアルコールビール人気No.1と噂のサントリーオールフリー。うちの母親からも「ノンアルコールだとこれが一番美味しい」と聞いていたので期待の1本です。
味は、アサヒよりもうちょっとクセのない感じかな。ビールらしさはそれほど感じられませんが、すっきりと飲みやすい1本。
4.サッポロプレミアム アルコールフリー
◆ひるあんどん
グラスに注ぐと視覚的に濃厚そうな色で泡立ちも豊かに感じましたね。それもあってか、ひとくち目の飲み心地も上々。これは何も言われなければビールと思い込んでしまうほどライバルたちを引き離してるレベルじゃないですかね。ただ、のどごしはちょっと拍子抜けでしたね。もう舌はビールと思い込んでいるので最後のどを通る時、あのちょっと刺すようなキリッとした感覚を待っているのに、ジュースのようにススゥーっと胃の方へ流れ去りました。
◆レキジョ
缶のデザインはアサヒと同じようにビールっぽい。黄金色で美味しそうに見えるね。香りは穀物の香り+甘さを強く感じる。味はノンアルコール独自のクセはあるけど飲みやすい。
他のビールよりコクを感じて美味しい!じっくり冷やして飲んだから、どうしても他のより美味しく感じてしまうところはあると思うけど…。
味は美味しいけど、プリン体が他のノンアルコールの倍なのが気になるところ。
◆ひげジイ
味に関してはノンアルコール独特のクセは気になります。ただ、とても飲みやすい。コクもあります。さすがにノンアルコールなのでのどごしやキレはありませんが十分、ビールといえる仕上がりですね。製法が変わり、酵母を使って作っているせいでしょうか(他の国産ビールは酵母を使っていません)。食事のときにいいのではと思います。色は他のビールに比べてやや濃く、ちょっと外国のビールを思わせませて美味しそうです。
5.テキサスセレクト(アメリカ産ノンアルコールビール)
◆ひげジイ
アメリカの代表的なビール、バドワイザーのようなスッキリとした淡白な味わい。その分「テキサス」と言う勇ましい(勝手な思い込み)の割には少し味としては頼りない感じ。ホップというより、グレン(穀物)のニオイがしました。ビールの代わりにとしては十分飲めると思います。「キレ」「のどごし」については今回比較した中では一番良かったのではとか思います。ただ、今回は「西城石井」で購入しましたが手に入りにくいのが難点かもしれません。どんな料理にも合いそうです。
◆レキジョ
今回唯一、アルコールが0.5%だけ入ったビール。キリッとしまった味とすっきりとした酸味で飲みやすい。ビールらしさも他と比べてありましたね。ただし、微量でもアルコールを含んでいるので、量を飲む人向けじゃないかな。家族でドライブに行った時のお父さんのお楽しみの1本的な感じでしょうか!?
◆ひるあんどん
飲むとドライゼロに近い「淡白」な印象なんですが、なんか「テキサス」とか「アメリカ」とかのイメージに引っ張られているのか、それがバドワイザーやクアーズのすっきり感に思えて、私的にかなり好印象になってます。これを片手に野外で豪快に焼くカウボーイスタイルのステーキとか食べたい。でも飲み進めていくと、やはりビールとは違う「酸味」や「粉っぽい風味」も多少あるかなぁ。
6.サントリーオールフリー シトラスクール(期間限定)
◆レキジョ
オールフルリーの夏限定のシトラス風味。シトラスの香りがものすごく爽やかでいい匂い!ここまで独特の穀物系の香りが続いたので香りはものすごく好印象でした。味は、想像通りシトラス風味のビール味。苦味が緩和されるのでビールが苦手な人はいいかも。10月からはゆず風味が発売されるみたいなので、ちょっと気になります。
◆ひるあんどん
ちょっと失望気味のオールフリーだったけど、このシトラスクールは意外にもそう悪くはない印象なんです。私がちょっとニオイフェチなところも影響しているのだと思いますが、この香りはちょっと心地よいですね。飲み会などで散々ビールを飲んだあと、他のアルコールに移る前のエンディング・ビールって感じに。残念ながら期間限定製造。今はお店にある分だけだそうです。
◆ひげジイ
先の4種類がオーソドックスなビール味ですが、これは今流行のフレーバードリンクの一種ともいえます。「ビールにレモン味?」という先入観でしたが、これが意外にいけます。レモンの香りが微妙にオールフリーの「臭み」を消していて、非常に飲みやすくなっています。ただ「キレ」「のどごし」はあまり期待しないほうが良さそうです。レモンの味も強くはないのでこれなら洋風の微妙の味わいの料理にもいけるのではないかと思います。
7.アサヒドライゼロ ブラック
◆ひるあんどん
うん、これはシンプルにドライゼロの黒ビール版ですね。私は黒ビールをあまり飲まないので本物の味の細かな記憶が曖昧なせいか、まるっきり黒ビールに思えます。強いて言うならアルコールがない分、黒ビールの「黒糖」感みたいなのがより前面に出てきているかな。合わすのは胡椒の効いたフライドチキンなどどうだろう。
◆ひげジイ
黒ビール(ギネス)が好きなので時々飲みますが、さすがに比較すると苦しいかもしれません。どうしても苦味が甘みに転んでしまっていて、「甘いなあ」というのが第一印象です。黒ビールも甘い、といえば甘いのですが、アルコールのキレと苦味でそれが気になりません。でも、ノンアルコールというハンディを考えるとよく出来ているのではないかと思います。普通に黒ビールのアテであるフライドポテトや塩味、香料が効いた料理に合うと思います。
◆レキジョ
アサヒからは黒のノンアルコールビールも発売。ノンアルコールでキレがないので、飲んだ後の甘みが少し気になります。黒ビール1本あるとハーフ&ハーフにしたりノンアルコールでもバリエーションが出るのがいいですね。
番外 ルートビール A&W
◆ひげジイ
「ビール」の名前で買ってしまいましたが全くビールとは別の飲み物。でも、アメリカではごくポピュラーな飲み物だそうです。一口飲んだ印象は初めてコカ・コーラを飲んだ時に似ています。「何じゃこりゃ」ですが、微妙に魅力的でもあります。アニスが入っているのでネットでは「飲むサロンパス」とか「サロメチール味」とかいわれていますが、初めてコーラを飲んだ時も「薬みたい」と感じたことを覚えています。でも、だんだん好きになりそうな感じがします。アメリカではハンバーガーとかと一緒に飲むんでしょうね。
◆レキジョ
缶を空けたと同時に独特の消毒液のような匂いが…。味はビールというよりジュース。味も独特であま~いバニラが飲んだ後も残ります。飲み続けると、ちょっとクセになりそうな味ですね。けど太りそう…。缶のデザイン、香り、味どれをとっても「アメリカ!」という感じでした。
◆ひるあんどん
これは完全に違う飲み物、というかほぼ「コーラ」ですよね。でもこのルートビールと呼ばれる飲料、アメリカでは開拓時代からの歴史をもち、かなりポピュラーであるといことを今回知ることができたのは収穫でしたよ。味としても悪くないんで、今後日本で大手が輸入してキャンペーンとか打ったら広まるかもね。
■■総合評価■■
3人の評価は?まとめると順位は以下のようになりました。
1位はサッポロプレミアムアルコールフリー。全般にバランスとれていてビールとしても飲めるという点で評価が高かったようです。
2位はアサヒドライゼロ。「味」の評価が低かったのですが「香り」「のどごし」の得点で2位に。もっと冷えていれば「味」のクセが押さえられてサッポロと逆転の可能性はあります。
3位はダークホースのテキサスセレクト。ほんの少し(0.5%)アルコールが入っているだけで「キレ」「のどごし」が変わってくるようです。製法も普通のビールに近いためもあります。
次点はサントリーオールフリー シトラススクール。柑橘系の香りがノンアルコールビール特有のクセや臭みを抑える効果があるようです。その分飲みやすく評価を得ました。
最後に今回の飲み比べで近頃のノンアルコールビールはかつてのものとは違い、味もコクもかなりビールに近づいています。クセや臭みが気になるものもありますが、キリッと冷やせばその辺りもかなり抑えられて美味しく飲めると思います。
ドライブだけでなく、昼間の食事や休肝日にも使えると実感しました。
みなさんもぜひ、飲み比べてお気に入りのノンアルコールビールを見つけてください。
まとめ:ひげじい