遊民悠民(ゆうみんゆうみん)

遊民悠民(ゆうみんゆうみん)

ありとあらゆる情報が溢れるいま、役に立つ情報が見つけにくい。
20代から60代までの「遊民悠民」メンバーが、「遊ぶ」「暮らす」「食べる」をテーマに
さまざまなモノを比較し、レポートしていきます。

くらす

遅れた塩麹前線、到達す

実家を訪れると、なぜだかふくれっつらの母がいた。
「あんた、塩麹って知ってる?」
もちろん、人気商品番付にもランクインしたほどの、ヒット調味料。レシピ本もたくさん出ているし、テレビでも話題に・・・と説明する。
「ふん、そうなん。そんなに・・・」鼻を鳴らす母。

実家の隣は、母の妹である叔母の家だ。料理好きの叔母は、テレビで見たレシピも取り入れるし、話題の調味料も使っているらしい。
母は叔母の話についていけず、「姉さん、こんなに流行ってるのに知らんの?世間から置いていてかれるで」と言われたらしい。
「家でテレビばっかり見てるくせに、いったい何を見てるんよ」
と手厳しく、母はすっかり臍を曲げていた(笑)。

近所の酒屋にも、こんな貼り紙が…。

心臓の手術をし、膝や足も悪い母は、すっかり出不精だ。
それもあって世間の動きにはうといが、世話好きの叔母のおかげで遅ればせながらも、こうした情報にも接するというわけだ。
で、娘の私は、塩麹を買って実家に届けることになる。
実家にいるころ、新しいものを導入するのは私の役目だったのに・・・と、ちょっぴり申し訳ない気持ちになりながら。

そういえば日経MJの記事に、全国の60~75歳の男女を対象にしたアンケート結果が載っていた。対象のシニアの半分近くが「何歳になっても最新のモノやサービスを生活に取り入れたい」と答えたという。
そんな今どきシニアの「それいいネ!」ランキングの五位に、まさに塩麹が挙がっていた。

わが母は83歳。叔母は81歳か。前述の今どきシニアよりずいぶん年上で、そのぶん遅ればせながらも、「流行は取り入れなければ!」の意欲は失っていない。ウルトラ?シニアにも「世間並」を刺激する販促策は、まだまだ効果的なのだ。

安里道行
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