遊民悠民(ゆうみんゆうみん)

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ありとあらゆる情報が溢れるいま、役に立つ情報が見つけにくい。
20代から60代までの「遊民悠民」メンバーが、「遊ぶ」「暮らす」「食べる」をテーマに
さまざまなモノを比較し、レポートしていきます。

あそぶ

“ねぶた”という血湧き肉踊るアート!?

青森三日目は雨。“ねぶた”見学で、アート旅の締めくくりと行こう!

◆青森駅から徒歩1分で、“ねぶた”に会える!

東北三大祭のひとつとして有名な“ねぶた”。実際の祭りは8月だけど、季節外でも“ねぶた”が見られるという。“ねぶた”の体験施設で有名な
「ねぶたの里」は、青森駅から車で30分の距離。
それが去年、青森駅から徒歩1分!の距離に、“ねぶた”が見られる施設がオープン。「ねぶたの家 ワ・ラッセ」だ。今日帰るから、そうは時間のない私たちも、ゆっくり楽しめるではないか。
これはラッキー!と、小雨の中(雨が降るとグンと寒い)、「ワ・ラッセ」に掛け込んだのだった。

青森港に面し、中のカフェから八甲田丸も見ることができる。(写真はウキペディアより)

ねぶたの里公式ホームページ
http://www.nebutanosato.co.jp/
ねぶたの家 ワ・ラッセ
http://www.nebuta.or.jp/warasse/

◆語源は「眠たし」?まさに眠気を吹き飛ばす迫力

“ねぶた”の語源には諸説あるが、現在では「眠たし」が最も有力視されているそうだ。農作業の妨げとなる眠気を送り出す習俗「ねむりながし」の「眠り」が「ねぶた」に訛ったといわれる。
青森各地で行われる“ねぶた”祭は、青森市では“ねぶた”だが、弘前など津軽地方では“ねぷた”と呼ぶ。訛り方にも変化が?

さて、「ワ・ラッセ」の吹き抜けの広大なスペースには、祭りで賞を取った“ねぶた”など、大型のものから中型まで、何台も展示されている。テレビでしか見たことのない“ねぶた”の、実物の迫力に圧倒され、すっかり魅了されてしまった。

最優秀制作者賞の『滝不動』。見得がバッチリ決まったポーズに心躍る。

 

滝の中に炎に包まれた不動明王が!炎の勢いはもちろん、生きているような水の表現にも注目。

 

優秀制作者賞『韋駄天』。東北新幹線青森開通を祝して制作されたとか。

 

優秀制作者賞『白虎と青龍』。突っ張った脚、掌の表現。有り余る勢いを感じます。

◆これぞ360°3Dのド迫力!

どの“ねぶた”も本当に素晴らしい。“ねぶた”は、伝説や歴史、歌舞伎の演目などがテーマになっているが、そうしたドラマを凝縮し、登場人物の思いや心が噴出するがごとき生命力に溢れている。
“ねぶた”の設計図でもある下絵も展示されていて、迫力の源のプランを見ることができ、納得したり、感心したり。
下絵の迫力は紙の余白を生かし、勢いのままに付き出される手足が奔放に描かれるところにある。それが立体では、下絵と同じ面で見ると、余白はつぶされ、四角い面の中いっぱいに動きが凝縮されている。密度が高いのだ。変わりに、斜めから横からと、どこから見ても、その勢い、迫力を感じることができる。
立体化は、登場人物に下絵より難しいポーズを要求する。“ねぶた”の主役たちは、まるで低く低く構えた力士のようだ。今まさに勢いよく飛び出さんとする弾みを溜めたポーズ。
“ねぶた”はアートであり、素晴らしいショーだと思う。
この“ねぶた”たちが練り歩く、祭が見てみたい…強く思った。

青森ねぶた祭オフィシャルサイト
http://www.nebuta.or.jp/

見よ、この腰の低さ。強靭な下半身が無いとできないポージング。力士か、ダンサーですね、これは。『水滸伝』

 

ねぶたの仕組みがわかるよう、部位の展示も。巨大な足(笑)

ビッグな顔の部分。強い張り感があります。

 

炎もきれい。ちょっと“ねぶた”の世界に入った気分(笑)

◆エコ訴求の企業“ねぶた”も!

企業も協賛・運航する一大イベント“ねぶた”。ねぶた1台に付き600~800個もの白熱電球が使われるとか。
そこで東北電力、パナソニック、東芝の協力により電力の1/5で済む電球型蛍光灯が使用され、さらにパナソニックはLED電球の採用で、祭りを盛り上げつつ、環境への関心を高めるのに一役買って、優秀制作者賞を受賞した。(前ブロックに掲載の『水滸伝』)
“弘前ねぷた”では、太陽光発電による電気が使用されるなど、
祭にも、エコ視点が欠かせなくなっているようだ。

パナソニック企業市民活動ブログ
http://panasonic.co.jp/citizenship/blog/2010/09/post-26.html

◆こんなすごい津軽三味線、無料で!?

“ねぶた”を堪能し、いざ、帰路につかん! でも、夕方の飛行機まで少し時間が…。
「津軽三味線、行けそう!」友人が、観光物産館でのイベントを発見。こちらも駅から徒歩圏内だ。
「物産館だし」「無料だし」と、実はそこまで期待せずに気軽に駆けつけた私たち…す、すみません! 素晴らしかったです。三味線のことはよくわからないのですが…それでも。

福士豊秋さんは「青森市津軽三味線日本一決定戦」初代チャンピオン。NHKドラマに三味線弾きの役で出演したこともあるそうだ。娘さんのご主人矢吹さんも三味線の弾き手で、この日、義理の父上とともに演奏。なんでも、次の日、津軽三味線大会に参加予定とか。
「今日ぐらい演奏できれば優勝でしょう」と福士さんも太鼓判。
とにかく、そんな方々の演奏が無料で聞けて、本当にトクした気分だった。(後日、気になって確認したら、矢吹さん、準優勝されてました。おめでとうございます!)

ワンデイワンテーマ(あっ、三日目はツーテーマになったかな)、欲張らないけど、一つ一つの中身はすごく贅沢な、みちのくアート旅も帰る時間に。大満足のうちに、帰路についたのでした。

福士ファミリー公式ホームページ
http://www4.plala.or.jp/fukushi-family/prof01.htm

津軽三味線日本一決定戦
http://www.nichimin.or.jp/info/info-tai.html

「ワ・ラッセ」で販売されているせんべいをお土産に。「ねぶたのプリントがあるせんべいは、『ワ・ラッセ』だけで買える!」と、これまたバーの店主の情報により。

よろしければ、青森1日目、2日目もご覧ください。
みちのくアート旅①
8.5mの“あおもり犬”に出会った。
みちのくアート旅②
花満開の街全体が美術館

安里道行
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