遊民悠民(ゆうみんゆうみん)

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ありとあらゆる情報が溢れるいま、役に立つ情報が見つけにくい。
20代から60代までの「遊民悠民」メンバーが、「遊ぶ」「暮らす」「食べる」をテーマに
さまざまなモノを比較し、レポートしていきます。

あそぶ

ジュエリー作家のアトリエを訪ねて

◆指輪にもなるユニークなペンダントトップ

休日、身につけると、知人はもちろん化粧品カウンターの店員さんなどからも「ユニークですね。どこで買ったんですか」と聞かれるアクセサリーがある。チタン製の毬のようなカタチだが、押さえるとリング状になり、ペンダントトップ以外に、指輪としても使える。人に聞かれる度にこれを実演して見せ、「えっ」という反応を楽しめるのも気に入っている。

ネックレスのトップとしても目立つデザイン。

 

押さえると柔軟に変形する。

 

この通り、指にはめることも。

作者はジュエリー作家の小宮宇子さん。美しいだけでなく、仕掛けや工夫があったり、見た目も斬新な作品を作られる作家さんだ。華美なジュエリーはあまり興味が無い(似合わない?)私だが、小宮さんの作品は身につけてみたいと思う。

◆道具がいっぱいのアトリエにわくわく

どんなふうに考えるの? どうやって作るの? 興味が高じて、アトリエのあるご自宅にお邪魔することに…。
白いマンションの中に一歩入ると、カラフルな色や飾りが溢れていた。ご主人の描かれた絵も飾られ、いかにも作家さんご夫婦のご自宅兼アトリエといった趣き。
小宮さんの制作スペースには、興味深い道具類がぎっしりで、男の子が来たら喜ぶのでは? 少年心満載の私も、わくわくして、あれこれ拝見させていただいた。

「けっこう力の要る作業よ」と小宮さん。

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金属を曲げたり伸ばしたりする大きな木の台。

 

アルミ板の厚みを図って…

「小宮さんの作品って、立体的ですよね…」うまく表現できない私だが「私はね、彫刻科を出てるんですよ」の言葉に納得!
「私が大学の時、彫金の第一次ブームで、少し習ったりもしたけど、
彫刻に比べると小さな世界だと感じて、最初向いてないなと…。
でも、ヨーロッパ旅行もキッカケになって、こちらの道に…」
お宝抽斗から、かつての作品を取り出して見せていただいた。
やっぱり斬新、素敵です。

右は1976年公募展に出品した指輪。動かして楽しめるユニークなもの。左はブローチ。真ん中が大胆に切れたデザイン。

 

「一筆書きのような作品に」と構想4年。完成したフォルム。なるほど一筆書き!美しいブローチです。

◆パンチングボードを使った作品展へ

最近ではこの3月に作品展を開催。もちろん、私も覗かせていただいた。今回は、チタンのパンチングボードを使ったアクセサリーが多く、軽快で楽しい作品展だった。

カラフルな色合いのアクセサリーが並び、春を感じさせる。

 

ブローチ。マグネット式というのも面白い。

 

ペンダントトップは二つのオブジェをマグネットで付けている。離して一つだけにすることもできるし、二つを好きなようにくっつけることもできる

 

イヤリング。パンチングボードの軽さがうれしい。

 

私のお気に入りのHANAシリーズもあった。

楽しいパンチングボードのアイデアは、どこから出てきたのだろう。
「実はね、たまたま、これを見たときに『アクセサリーになるやん』って思って」と小宮さんに見せていただいたのが、メモなどを付けるかわいいゴムのマグネット。色もきれいで、なるほどアクセサリーぽい。
「パンチングボードは前から使おうと目をつけていたから」
身の周りのいろんなものからアイデアが沸いてくるんですね。

右がゴムのマグネットグッズ。ひとつずつ離れる。左のパンチングボードを使ったマグネット式アクセサリーのヒントになった。

◆チタンの染色を実演させていただきました。

感心しながら、いろいろ眺める私に、小宮さんがひとつ実演させてくれた。発色がきれいで、さまざまな色が出せるチタンの染色実演だ。
バネ状に巻いたチタンを液につけて電流を流すと、少しづつ色が変わる。私は金色に仕上げ、小宮さんがチェーンに通すと、もうアクセサリーに。

チタン発色整流機。液に浸しながら電圧を上げていくと、次々色が変わる。

 

色を変えたバネ形のチタンをチェ―ンに通せば、アクセサリーに。なるほど、なるほど。

アクセサリー作りの楽しさを少し味あわせていただいた。
「自由に発想して、いろいろなアクセサリーを生みだすのは楽しいけれど、たとえば今回のマグネット作品。自由にどこにでも付けられ、服に穴を開けないのが良さだけれど、それがじゃまくさいって人もいる。針でしっかり止めるブローチの方がしっかり止まって落ちないからと。
ユニークなアイデアや、新しいカタチを楽しむには,付ける人も多少のリスクを負ってほしいな、作者の願望です(笑)」と小宮さん。
「アメリカやヨーロッパなど海外は、その点、ユニークなものを身につけるなら、多少付け方に手間取っても気にしない人が多いような気がします。洋服のアクセサリーの歴史がそれだけ長いからかも」

なるほど、そういう視点、道行もありませんでした。マグネットなど、いつもと違う付け方も含めて楽しめるのが、アクセサリー上級者かも。
ちょっと考え方が変わりました。
今日は、興味深いお話を、ありがとうございました。

小宮宇子プロフィール
http://www.jjda.or.jp/whoswho/hyogo/8305.html

安里道行
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