2012年03月23日
能勢妙見一の鳥居あたりから妙見参道に至る今の国道477号線沿いの能勢街道を昔は花折街道とも呼んだらしい。この何とも風情のある地名を復活させ、街道を雛で彩ろうという試みが、今年初めて行われた。
飾る区間は、能勢電鉄妙見口駅あたりから、旧道沿いの吉川八幡神社のあたりとその周辺。妙見山への登山ルートにもあたり、そこそこ人通りのある道だが、典型的な里山のひなびた街道筋だ。
100メートルほどの間隔を置いて、何本かの竹筒に紙雛が鎮座している。かぐや姫みたいで、なにやら愛らしい。他にも雛に因んだ子どもたちの絵があったり、一般のお宅の玄関にも雛壇が設えられていたりする。「ご自由にお入りください。」との心づかいがうれしい。祇園祭の宵山、町家の屏風や飾り者を見物客に披露する屏風祭のお雛様バージョンだ。
なかには変わり者も居る。田んぼの土で作った「土雛」がそれ。どことなくユーモラス。内裏雛というより昔話にでてくる、爺様、婆様のようだ。同じ「土雛」でも、点目のかわいいものも。
目を引かれたのは、紙雛と季節の花を「活けた」竹筒をずらりと掛けたウッドフェンス。実南天、菜の花、つぼみの梅、そして水仙。早春のほのかに淡い花の色がとても上品で素敵だ。こちらはスペインはコルドバの『花の小径』の北摂版だ。
このプロジェクトの発起人の一人が「galleryたまや」の上田厚子代表。「もともと豊能町吉川地区の地域おこしになればと思って始めたものなのです。地域の方から、お雛様を出してもらって・・・。結構家にあるものなのですね。竹筒に雛を飾るのは、オリジナルのアイデアではなく、お雛様で町おこし、村おこしを実行しているところでは、よくあるやり方なのですね。」と、上田さん。
震災支援のつながり雛」もプロジェクトの一環。ボタンでいくつもつなげられる豚革の男雛と女雛のセット価格は、622円。(3.11×2で設定された価格)1セットの材料費208円を差し引いた414円が、岩手県大槌町「子供の学び基金」にメッセ―ジとともに届けられる。因みに大槌町は、豊能町の消防隊員の皆さんが、震災後いち早く支援に駆けつけたご縁のあるところ。
公民館の中も雛尽くし。里山に春を告げるこの催しが好評で、恒例行事になることを願ってやまない。
なお、このイベントは4月3日まで開催されている。
中田無麓