2011年12月16日
ミラーレス一眼を使う その2
お待たせ? しました。今回はお約束どおりミラーレス一眼の魅力としてもっともよくうたわれていると思えるテーマを取り上げたい。それがこれ。
ボケ
写す主役だけにピントを来させて、背景や前景をぼかす写真表現。ポートレート(特に女性)や花の写真には昔からよく使われて、一眼使いにはとても親しみ深い。が、なんとその発祥は日本。海外では2000年ごろから「Bokeh」(実際このように綴られる)という言葉が使われはじめ、斬新な表現手法として注目されるようになったという。それまでは概念すらなかったらしい。
といったWiki的なうんちくはさておき、ミラーレス一眼が写しだすボケについてだ。
けれど、ボケ「味」というような高級話をするにはまったくの経験不足。なので、ボケ「量」はどうとか、基本的なところについてだけだが実感レポートしてみよう。
その量、たしかにコンパクトデジカメよりはボケる。だが、CMでイの一番に取り上げてみせるほどに魅力的かといえば、少し苦しいんじゃあないの? (キットの標準ズームでは)だ。理由は、それなりのボケ量を得られるのは被写体に最接近するなど、場合をごく限られるからだ。以下、それがどんな感じなのかをも少し詳しく記述。
まずは実際の撮影例で見ていただこう。起用したミラーレス一眼はNEX5。比較対象に昔よく使ったコンパクトカメラも引っ張りだした。
写真は標準ズーム の28mm(35mm換算)ワイド端で絞りは開放F3.5、寄れる最短距離まで寄って撮影している。ピントは一番手前のケーキのペパーミントの葉。後ろのミルフィーユケーキや皿の後端がボケて写っているのが見えるだろうか。
写真はマクロ機能を効かせたコンパクトカメラで、ほぼ同じフレームになるよう前後しながら撮影した例。画角は35mm(35mm換算)のワイド端で、F値は開放F3.5だ。マクロ撮影だが、やはり撮像素子の小ささと実焦点距離の短さ(6.3mm)が効いて、被写界深度が深く3つのケーキのすべてにピントが来ているように写る。
さて問題は次だ。カメラは再びNEX5、レンズは標準ズームだが、どういった使い方で撮影したか? ちなみに絞りは開放のままだ。なのにピントはけっこう後ろにも来ているように見える。
実はズームを焦点距離82mm (35mm換算)の望遠端で撮影している・・・。ん、普通は望遠側のほうがボケやすいのではないの?
突然だが閑話休題。
重箱のスミな比較写真にお付き合いいただいているお詫びに、ここでもっと役立ち情報を。被写体になったケーキは京都は中京区の竹屋町通烏丸西入(地下鉄の丸太町からすぐ)にある欧風堂さんのもの。
www.ofudo.jp
ネットでも注文できるソフトバウムが人気なのだが、このケーキたちも、あとくちの爽やかさがすばらしくて我が家のお気に入り。近くにお立ち寄りの節はぜひお試しあれ。
話を戻すとしよう。
ボケを作るための基本をおさらいしてみる。背景や前景のボケを大きくするには、被写界深度(ピントがあったように見える範囲)をなるべく浅く(前後狭く)すればよい。そのためには・・・
1. 焦点距離を長くする(ズームレンズなら望遠側にズームする)
2. 絞りを開ける
3. 被写体に近づく
4. 背景や前景を被写体から遠ざける
上の望遠端での写真は、もちろん最初のワイド写真に比べて離れた位置から撮影している。また絞りが開放でもF6.3へと勝手に暗くなっている。このちょっと離れてという距離と思わぬ絞りの絞れ具合とが、望遠ならではのボケを作らせてくれなかったのだ。
寄れるいっぱいまで寄ってなら、F6.3の絞りでもここまでボケは大きなる。けれど普段に撮りたいシーンはここまでアップじゃない場合が多い。どうする?
大ボケ条件の4番目を意識してなら、それなりのボケを作れる。そんな例を、待ちに待ってやっと色づいた京都の紅葉を被写体に置いてみた。
撮影場所は曼殊院門跡。
http://www.manshuinmonzeki.jp/index.html
勅使門の前で流れ落ちる紅葉。
枝先に近づいてパシャ。
門や階段との距離が相対的に大きいので、まずまずに背景ボケしてくれる。
もう一枚、落ち葉をアップで。背景が10m以上はなれている場所を選びつつなので、これも奥は大きくボケてくれている。
とまぁ、ボケらしいボケを得るには、少々工夫がいることがわかってもらえただろうか。
それに加えて、フィルム一眼レフで50mm F1.4の標準レンズが当たり前のように描いた大ボケをいったん味わった身には、どうしてももの足らなさが付きまとってしまう。
その解決策がマウントアダプターを使ったオールドレンズ遊び。いくつもムック本がでるほど人気を集めているが、次はボケつながりでこれをテーマに書いてみる(つもり)。
にしても、今年の紅葉はアップするとまったくもって美しくないねぇ。
曼殊院門跡の、そして京都紅葉の名誉のために、引きの写真で洗眼していただこう。
撮影者が逆光好きなのもあるけれど、京都の紅葉はしっかり燃えていた。