2012年06月18日
水族館が好きで旅先でも覗く。雨模様の土曜、3月のオープンから気になっていた京都水族館を訪れた。
◆目を閉じてはんざきおのれ消しにけり<西宮 舞>
水族館には目玉、スターがいる。『海遊館』(大阪)はジンベエザメだし、『須磨水族館』(神戸)には一時、スナメリがいた。
京都の水族館は・・・オオサンショウウオ! お地味というなかれ!世界最大級の両生類にして、恐竜以前、3千万年前から姿を変えずに生き抜いている生きた化石。とてもロマンのある生き物だ。
私は両生類・爬虫類好きでもあり、ちょっぴり俳句を嗜む者としては、サンショウウオは季語(夏)でもあるので、わくわくしつつ、このスターに会いに行った。
入館してすぐ、順路の最初に「京の川ゾーン」があり、オオサンショウウオに出会える。 夜行性なのでじっとしている姿は、ほんと、岩そっくり! 時たまうごくと、オオオーッと歓声が上がる(笑)
サンショウウオの目は、「あるの?」というくらいの小ささで、これを閉じると、周囲とさらに見分けにくくなる。
私が所属している俳句結社:狩の俳人、西宮 舞さんの句を思い出した。
目を閉ぢてはんざきおのれ消しにけり 西宮 舞
“はんざき”はサンショウウオの別称。じっと動かず、近くに来た小魚をパクリと食うサンショウオにとって、己を消すことは生きるための知恵。と同時に、3000万年も姿を変えずに生きてきたサンショウウオは、周囲に影響されない己を持っていたのだと感じさせる、そんな味わい深い句だと、改めて思った。
京都水族館ホームページ
http://www.kyoto-aquarium.com/
◆ウーパールーパー?サンショウウオの子ども
天然記念物のオオサンショウオ。京都の鴨川では、在来種と食用に持ち込まれた中国のサンショウオとの交配が進み、雑種も増えて問題になっているそうだ。
中国種、雑種の展示、それぞれの違いも示され、警鐘を鳴らしていた。オオサンショウオに、より親しむための展示も工夫され、
体の仕組みが覗けたり、皮膚の感触が再現されていて、触って「まるでゴムみたい」と実感できたり、印象的だった。
◆ゴマくんが顔を出すポール展示が人気
「京の川ゾーン」を抜けると、どの水族館でも人気の海獣ゾーンへ。オットセイ、ゴマフアザラシ、ペンギンと、人懐っこい生き物たちが目白押し。中でもポール状の水槽には時たまゴマフアザラシが上ってきて顔を出し、また潜っていく様子が愛嬌たっぷりで、人垣ができていた。
(この展示方法って、確か旭山動物園で有名になったのでしたっけ?)
すいぞくパン
http://www.kyoto-aquarium.com/shop/suizoku.html
◆イルカのジャンプの向こうに新幹線!?
水族館といえば、やはりイルカショーは見逃せない。緑の見える気持ちのいいスタジアムでイルカたちのジャンプを楽しんでいると、あれっ、遠くに動くものが…。
なんと新幹線が走ってる。イルカのジャンプの向こうの新幹線!
これって、なかなかない景色ではないだろうか?
◆山紫水明の京都、里山の景を守れ!
大水槽や海洋ゾーンでたっぷり海の世界に浸った後、京都の貴重な生き物を展示する「山紫水明ゾーン」、さらに田んぼや用水路が懐かしい屋外展示「京の里山ゾーン」がある。
最初の「京の川ゾーン」をはじめ、京都の環境にこだわった展示が、この水族館の特長を打ち出している。棚田は近くの梅小路小学校の生徒と植えた様子が掲示されていて、地域密着の姿勢がうかがえる。
また、リピーター誘致に年間パスポートを発行しているのは他の多くの水族館と同じだが、パスポートを持つ子ども客向けに、別会場で館長によるセミナーなど開催されていて、啓蒙にも力をいれているんだと感じた。
水族館としてはこじんまりとしているが、考えが明快で好感が持てると思った。